期待に胸を膨らませて新生活を始めたものの、「なんだか気分がすぐれない」「集中力が続かない」「疲れが取れない」など、心身の不調を感じる人は少なくありません。それは、もしかしたら「五月病」の可能性があります。
とくに新入社員や新社会人、新入生など、環境の変化があった人が陥りやすいと言われている五月病。本記事では、五月病の概要や症状だけでなく、抜け出し方や予防方法も解説します。なりやすい人の特徴も紹介するので、新生活が始まった人はぜひ参考にしてみてください。
まずは、五月病とはどのような状態や症状を指すのか見ていきましょう。
五月病とは、新しい生活を迎えた新入社員や新社会人、新入生などが、新生活が落ち着いてきた5月の連休明け頃から陥りやすい心身の不調を指します。正式な医学用語ではないため、病院を受診すると「適応障害」や「うつ状態」などと診断されることが多いようです。
就職や転職、入学、新学期などの新しい環境は変化が大きく、自分でも自覚しないうちにストレスが溜まりがちになります。そのため、適切にストレスを発散できていない状態だと、「疲れが取れない」といった身体的な不調や、「気分が落ち込む」などの精神的な変化が見られるようになり、仕事や勉強に大きな影響が出ることもあるのです。
ちなみに、五月病とうつ病は似通った症状が現われますが、五月病は一過性のものであるのに対し、うつ病は長期的に継続する病気という違いがあります。また、五月病をきっかけにしてうつ病に発展する人も少なくないようです。
五月病の症状は人それぞれですが、主に以下のような症状が見られるとされています。
身体的な不調 |
・疲れやすい/疲れが取れない ・眠れない ・食欲がない ・動悸や息切れがする ・お腹の調子が悪い ・めまいがする ・吐き気を感じる |
精神的な不調 |
・気分が落ち込む |
行動面の変化 |
・休みがち、遅刻しがちになる |
一概に「この症状があれば五月病だ」とは言えませんが、心身の不調や行動の変化を感じたら五月病の可能性を疑いましょう。
五月病は誰でもなる可能性がありますが、とくに以下のような特徴を持つ人は「五月病になりやすい」といわれています。自分や家族、同僚などは当てはまらないかチェックしてみてください。
就職・転職や新学期などの環境の変化が苦手な人は、五月病になりやすいといえるでしょう。新たな環境に適応できず、ストレスが溜まりやすくなるためです。
環境の変化に適応するのが苦手な人だけでなく、新たな環境になると無理をしてしまう人も、五月病になる可能性をはらんでいます。自分を押し殺して無理をしながら生活していると、知らないうちにストレスが溜まってしまいます。
几帳面な人や完璧主義な人は、細かなところも気になったり、ミスができないというプレッシャーを感じたりする傾向にあります。そうしたストレスや緊張状態が心身へと影響を及ぼし、五月病になるリスクがあるでしょう。
ストレスを抱えても、考え方を変えたり趣味に打ち込んだりできる人は、うまくリフレッシュしてストレスを発散できます。しかし、ストレスを抱え込みやすい人は、水があふれるようにストレスがあふれ出てしまい、心身に不調をきたします。
「自分の弱いところを見せたくない」「悩みを話しても意味がない」など、他人に相談するのが苦手な人もいるでしょう。他人へ相談できないとずっと一人で考え込んでしまい、さらに落ち込んでいくという悪循環に陥りかねません。
仕事が忙しくて過労傾向にある人や、なかなか寝つけなかったり夜中に起きてしまったりするなど不眠傾向にある人は、疲れが溜まっていき五月病になりやすいといわれています。過労や不眠は身体の疲れだけでなく、精神的なストレスにも大きく関係しているため、五月病のきっかけになるでしょう。
五月病は一過性のものではありますが、悪化するとうつ病になる可能性もはらんでいます。症状を感じたら早めに対策をすると、早期に抜け出すことができるでしょう。そこで、どのように解消していくべきなのか紹介します。
家族や同僚など、信頼できる人への相談は効果的です。一人で悩んでいて解決の糸口が見つからなくても、第三者の視点からだと新しい気づきやアイデアが出てくるかもしれません。
また、誰かに相談すると、自分の気持ちを整理できるきっかけにもなるでしょう。ただ聞いてもらうだけでも、自分の状況や気持ちを吐き出すと気分が晴れることもあります。
五月病になると、やる気が起きなかったり、動けなかったりすることから、ついダラダラと過ごしがちになります。しかし、睡眠や食生活の乱れは五月病をさらに悪化させるリスクもあるため、規則正しい生活を心がけましょう。
ゆっくりとお風呂に浸かったり、決まった時間にベッドに入ったりするだけでも、気分が落ち着く可能性があります。また、インスタント食品やお菓子ではなく、良質な食事を摂ることも疲労回復に効果的です。
もしも仕事が原因なら、上司に仕事の量や割り振りを相談することで、状況が改善して五月病から抜け出せる可能性があります。業務量を減らすだけでも、心理的な負担が軽減して症状が軽快するかもしれません。
趣味の時間や一人で過ごす時間、家族との時間など、1日のうちにリフレッシュできる時間を設けましょう。五月病になると、常に思い悩んでしまってネガティブな思考から抜け出せない人もいますが、そうした悩みを忘れられるくらい没頭できる時間があると、思考がリフレッシュできて気分も明るくなります。
クリニックなどの医療機関で、専門家に相談するのも一つの手です。早めに医療機関を受診して適切なサポートを受けられれば、症状が悪化する前に改善できます。
最近では、会社でメンタルヘルスのサポートを実施していることもあるため、会社にそのような制度がないか確認してみましょう。
五月病になってしまう前に、適切な対策によって予防することも可能です。主な予防方法を紹介していきます。
このような予防方法のほか、自分の意識を変えることも重要です。「自分の弱いところも見せても良い」「完璧にこなさなくても良い」「誰かを頼ることは悪いことではない」など、ちょっとした意識の変化によって気持ちが楽になり、行動も変化できるでしょう。
従業員が五月病になってしまうと、仕事のパフォーマンスが低下して生産性が低くなるだけでなく、休職や離職を引き起こしかねません。企業が主体的に取り組むことで従業員の五月病を予防できるため、企業ができる対策を紹介します。
職場環境を改善して従業員のストレスを軽減させることは、五月病予防に有効です。たとえば、以下のような取り組みが挙げられます。
職場環境と一口に言っても、デスクの配置や照明などの物理的な環境だけではありません。さまざまな施策を行ない、従業員がストレスなく働ける環境を作りましょう。
「業務量が多すぎて手が回らない」「苦手な仕事をしなければならない」など、業務の割り振りや量などが原因でストレスを抱える従業員は少なくありません。一人ひとりの業務内容や量を洗い出し、適切な割り振りができているかチェックしましょう。
従業員がワークライフバランスを充実できるよう、多様な働き方を取り入れるのも一案です。フレックスタイム制やリモートワーク、時短勤務制度など、従業員の要望や状況に応じて柔軟な働き方を検討してみてください。
五月病予防には、相談できる相手の存在が重要です。とくに新入社員は相談できる相手がいないためにストレスを抱え込みがちになり、五月病を引き起こす可能性があります。
誰でも仕事の悩みや不安を相談できるよう、従業員同士がコミュニケーションを取れる仕組みを作りましょう。たとえば、ランチ会などのイベントの実施、1on1ミーティングの開催、コミュニケーションツールの導入などが考えられます。
従業員同士がコミュニケーションを取りながら連携し合うことは、五月病予防だけでなく、離職率低下やエンゲージメント向上などさまざまな効果が期待できます。
チームワークアプリ「RECOG」は、従業員同士の感謝・称賛をつうじて良好な職場環境を作ります。レター機能や投稿機能、トーク機能などさまざまな方法でコミュニケーションを取れる機能が搭載されているため、自社に適した活用ができるでしょう。
詳しくは下記の資料にまとめているので、ぜひダウンロードしてみてください。
五月病は心身の不調で非常に苦しい思いをする人も多いですが、適切な対策を取ることで早期の解消が可能です。また、個人の努力だけでなく企業の取り組みによって予防できるため、五月病にならない環境作りに努めましょう。 \\編集部おすすめ記事// まとめ