業務に関わる報連相やたわいもない雑談など、企業活動において社内コミュニケーションは不可欠です。しかし「職場の雰囲気がギスギスしている」「チーム内でうまく連携が取れていない」など、社内コミュニケーションの課題を抱えている組織は少なくありません。
本記事では、社内コミュニケーション活性化の必要性や、その方法、おすすめの社内コミュニケーションツールをご紹介します。
「日々の業務が忙しい」「リモートワークをしている」「他部門と顔を合わせる機会が少ない」などの理由から、社内コミュニケーション不足は起こります。社内コミュニケーションが少なくなると、具体的にどのような組織課題をもたらすのか見ていきましょう。
社内コミュニケーションが少なくなると「人間関係の悪化」「業務進行への支障」によって、従業員のモチベーションは低下します。
社内コミュニケーション不足によって情報共有や依頼がうまくいかないと、相手に不信感が募ってしまうでしょう。職場の人間関係は仕事のモチベーションを大きく左右するため、日常的にギスギスした職場では、前向きに仕事に取り組めずモチベーションが低下します。
また業務進行に関しても、チーム内や上司・部下間、部門間でうまく意思疎通を図れないために遅延やミスが発生し、成果をあげづらくなるでしょう。成功体験を得られなければ、モチベーションはさらに下がります。
社内コミュニケーションが不十分だと、基本的な報連相も疎かになるため、連携不足による遅延やミス、生産性の低下が発生し業務が円滑に進みません。場合によっては、納期に間に合わなかったり、質の低い商品を納品してしまったりして、取引先や顧客に迷惑をかけて損失をもたらすこともあります。
また、新入社員や若手従業員であれば、仕事を進めるなかで困りごと・疑問点が出てくるのは当然です。しかし、普段の社内コミュニケーションが少ないと、そうしたときに助けを求めづらくなります。そもそも誰がどのような知見を持っているかがわからないため「誰に相談すべきかわからない」と一人で抱えてしまい、さらに大きなトラブルに発展するリスクもあります。
社内コミュニケーション不足は、人材育成にも悪影響を及ぼします。
人材が育つには「基礎知識・スキルの習得」「実践」「振り返り」の3つが重要ですが、社内コミュニケーションが希薄だと、上司や先輩からノウハウを学べないため「基礎知識・スキルの習得」が乏しくなります。「振り返り」においても、上司や先輩から十分な指導・助言を受けられません。経験の浅い従業員が自らで気づける内容には限りがあるため、成長スピードは遅くなります。
また社内コミュニケーションが少ない職場は、対面での会話、チャットツールでのコミュニケーション、グループウェアを通じた情報共有も少ない状態です。そのため、優秀な従業員がいたとしても、そのスキルやナレッジを横展開できず、人材育成に役立てられません。
エンゲージメントや帰属意識は、企業理念・事業内容による部分はあるものの、一緒に働く仲間によって向上していくケースは少なくありません。職場の人間関係が良好でチームワークが高ければ、愛社精神が生まれ「もっとこの組織のために頑張りたい」と思うようになります。
逆に、社内コミュニケーションが不足している職場では、人間関係がうまくいっていないことが多く、チームで支え合いながら前向きに仕事をしている状態とは言い難いでしょう。そのため、企業に対する貢献意欲がなくなって無関心になり、さらに社内コミュニケーションが疎かになるという悪循環に陥ります。
社内コミュニケーション不足は、離職者の増加の一因にもなります。
経営層・従業員間の社内コミュニケーションがうまくいっていない場合、企業の方向性やビジョンが見えず、将来性への不安から離職を選択する人が多くなります。また、上司・部下間のコミュニケーション不足では「上司は自分を適切に評価していないのでは」という不信感から、離職を選択してしまうでしょう。
そもそも職場の雰囲気が悪いと、心理的安全性が確保されていないために仕事中も気を遣ってしまい、仕事のモチベーションが上がらず離職してしまう人もいます。
社内コミュニケーションが機能していないと、辞めようか悩んでいる段階で周囲に相談する機会もありません。そのため、上司や同僚が気づかないうちに離職を決心してしまい、引き留めることも難しくなります。
チームワークは、メンバー一人ひとりの能力やスキルを最大限に活かし、相乗効果によって大きな成果をもたらすものです。組織においては、部門やチーム、部門横断プロジェクトなど、さまざまな場面でチームワークが求められます。
しかし社内コミュニケーションが不十分だと、適切な情報共有が行なわれず、スムーズな連携ができません。また相互理解も深まらないため、互いの強みがわからず個々のスキルを活かすこともできないでしょう。チームワークを発揮できなければ、生産性は低下しイノベーションも生まれず、企業に大きな損失をもたらす可能性があります。
同じチームの同僚に比べ、他部門の従業員や、上司・部下間はもともと一緒に仕事をする機会が少ないため、社内コミュニケーションが希薄になるとその連携不足は顕著になります。
部門間に関しては、たとえば「営業がヒアリングした顧客の声を商品開発部門にスムーズに伝達できない」など、社内コミュニケーションが弊害となってビジネスチャンスを逃してしまうでしょう。
また、上司は組織全体の方針を部下に伝える役割を担っていますが、社内コミュニケーション不足によってうまく伝達できなければ、従業員の動きがバラバラになり団結力が低下します。適切な指示やアドバイスもできなくなり、チームの統率が取れなくなる可能性もあります。
経営層・従業員間の社内コミュニケーションが不十分だと、企業理念やビジョンが現場に浸透しないという課題が生まれます。
企業理念やビジョンは、従業員にとっていわば「どのような姿勢で仕事に取り組むか」を表したものです。それが従業員に浸透していなければ、意思決定や顧客対応、新商品開発など、あらゆる場面で企業全体の統制が取れなくなります。
経営層と従業員は、顔を合わせる機会があまり多くないからこそ、全社朝礼や社内報、コミュニケーションツールなどを活用して、社内コミュニケーション不足を解消する必要があります。
新商品やサービス、新規事業のアイディアは、顧客の声を含めた他者の意見・考えがヒントになる場面がよくあります。しかし社内コミュニケーションが少ないと、こうした”外部刺激”がないため、自分の知識と経験だけでアイデアをひねり出さざるを得ず、イノベーションが生み出しづらくなります。
また新しい企画は、チームでアイディアの種を出し合ってブラッシュアップを重ね、やっと形になることが多いでしょう。社内イノベーションが不足している組織の場合、こうした意見交換ができない点もイノベーション創出を妨げる一因になります。
不正やコンプライアンス違反の防止に最も有効なのは「周囲の目」です。社内コミュニケーションが少ないと、周りの人が何をしているのか無関心になり、不正やコンプライアンス違反が起こっていても気がつきません。また、本来は「こんなことをしたら信頼を失う」という思いが抑止力になりますが、社内コミュニケーション不足により周囲との信頼関係が築けていなければ、そうしたブレーキも機能しません。
不正やコンプライアンス違反を防止するためには、普段から意識的に社内コミュニケーションを取ることに加え、どのような行為が違反に該当するのかの発信も重要です。
社内コミュニケーションを活性化させると、組織にどのような効果をもたらすのでしょうか。ここからは、社内コミュニケーションの必要性を解説していきます。
社内コミュニケーションが活発になると、相互理解が深まり、人間関係が良好になります。アットホームな雰囲気で仕事ができ、業務も円滑に進行するようになるため、モチベーションが向上します。
また社内コミュニケーションが増えると、普段の何気ない会話のなかで自然と情報共有を行ない、困りごとを相談するようになるでしょう。それにより、打ち合わせ時間の削減や、スムーズな役割分担を実現でき、業務効率がアップします。さらに、普段から社内コミュニケーションを取ることで、組織が同じ方向を向いている状態を作れるため、意思決定スピードが上がり業務効率化につながります。
離職に至る主な理由は、以下の4つだといわれています。
社内コミュニケーションが増加すると、このうち「人間関係」と「企業の将来性への不安」の改善に寄与できます。
社内コミュニケーションが活発になると、少しずつ相手の人柄や考え方が理解でき、信頼関係が生まれるでしょう。また、社内コミュニケーションが活性化すると組織の風通しもよくなるため、従業員の意見を吸い上げてもらいやすくなります。組織の意思決定に自分の声を反映してもらえる環境では、エンゲージメントが高まり、結果として離職率が下がります。
たとえば新商品を企画・発売するとなった場合、マーケティングや商品開発、営業だけでなく、販促や広報、経理など、全社の部門が総動員で業務にあたることになるでしょう。その全社横断的なプロジェクトの成功を左右するのが、部門間のコミュニケーションです。互いの部門への依頼事項が適切に伝達できているか、経営層からのフィードバックをプロジェクト全体に共有できているかなど、あらゆる場面で密な連携が必要になります。
対面での社内コミュニケーションはもちろん、チャットやグループウェアなど、さまざまなツールを活用して社内コミュニケーションを円滑にすることで、全社横断的な連携の強化につながります。
実際に社内コミュニケーションを活性化させるには、どのような方法があるのでしょうか。おすすめのツールを含め、社内コミュニケーションが増加する具体的な施策をご紹介します。
社内コミュニケーションを活発にする施策のひとつは、社内イベントの開催です。従業員間に自然とコミュニケーションが生まれるとともに、通常業務から離れた環境でチームワークを高められます。
具体的なイベントとしては、業務に関連したレクリエーションやワークショップ、勉強会のほか、事例発表会、他部門とのシャッフルランチなどがおすすめです。
部門の垣根を超えたイベントを開催することで、普段関わりの少ない従業員とも親しくなれ、社内全体のコミュニケーション活性化につながります。
従業員同士はもちろん、経営層・従業員間の社内コミュニケーションの活性化に有効なのが社内報です。社内報では企業からの情報発信として、主に企業理念やビジョン、全社に関わるニュース、従業員紹介などのコンテンツが配信されます。
従来は紙媒体での配布が主流でしたが、近年はWeb社内報に移行する企業が増えています。Web社内報の場合、動画や音声データも掲載可能なため、経営層のコメント動画も発信でき、より想いの伝わる社内コミュニケーションが実現できるでしょう。
社内コミュニケーション活性化の施策として、意外と見落としてしまいがちなのが、社員食堂やカフェスペースです。ほっと一息つきたいときに利用する場であるため、業務中よりもリラックスしてコミュニケーションを取れるのがメリットです。
また全社の共有空間であることから、他部門の従業員とも自然と顔を合わせられます。普段関わりの少ない従業員とも些細なきっかけから会話が生まれるなど、新たな社内コミュニケーションの場になるでしょう。
1on1ミーティングとは、上司と部下が1対1で行なう面談のことです。主に上司が聞き手となり、部下の業務進捗や抱えている悩み、キャリアプランなど、仕事に対する想いを傾聴します。
1対1でじっくり面談するため、互いの人となりや価値観を知る機会となり、上司と部下の社内コミュニケーションが深まるでしょう。
同時に、上司は部下それぞれから話を聞くため、客観的な視点からチームが抱えている課題も発見でき、チーム内のコミュニケーション改善にも役立ちます。
社内コミュニケーションツールをうまく活用すると、これまで以上に手軽かつ気軽に、そして多くの従業員とコミュニケーションを取れます。代表的なコミュニケーションツールをご紹介します。
ビジネスチャットツールには、大きく以下のような特長があります。
そのため、意見交換や意思決定をスムーズに行なえるのがメリットです。また「いいね」やスタンプ機能により、リアクションだけでも社内コミュニケーションを取れます。
ツールによってはテーマごとにスレッドを分けられるため、雑談スレッドを設けると、業務とは異なる話題でも社内コミュニケーションを深められるでしょう。
社内SNSツールとは従業員同士のコミュニケーションに利用する、社内限定のSNSのことです。日報や社内掲示板、ナレッジ共有など幅広い用途に活用できます。
部門や拠点、働き方を問わず、誰とでも気軽に交流できるため、広く社内コミュニケーションを取るのにぴったりの施策です。
また、上司が部下の投稿に「いいね」やコメントをしたり、経営層が投稿を通じて企業理念・ビジョンを伝えたりといった社内コミュニケーションにも利用できます。
リモートワークの普及とともに、近年一般的となりつつあるのがWeb会議システムです。遠隔地にいても画面上で顔を合わせながら会話でき、さらに画面共有により同じ資料を見られるため、電話よりも細かいニュアンスを含めた社内コミュニケーションが可能です。
また、会議の様子を録画する「画面録画機能」を活用すると、その会議に参加できなかった従業員も内容を正確に把握できます。議事録だけではわからない会議の雰囲気が伝わるとともに、伝達による齟齬も防げます。
社内コミュニケーションの量・質ともに課題を感じている方に、ぜひおすすめしたいのがサンクスカード制度です。
サンクスカード制度とは、紙のメッセージカードや、Web・アプリのツールを通じて、従業員同士が感謝のメッセージを送り合う仕組みのことです。誰しも一緒に働く仲間から「ありがとう」を伝えられれば嬉しいものです。ただ社内コミュニケーションが増加するだけでなく、ポジティブなコミュニケーションが増えるため、前向きな組織文化の醸成にもつながります。
チームワークアプリ「RECOG」は、社内コミュニケーションを活性化する機能が充実しています。
サンクスカード機能や社内掲示板機能、チャット機能などでコミュニケーションを促進できるだけでなく、組織の分析にも役立つ機能も搭載しています。徹底した導入支援・運用支援により、スムーズな導入と確実な定着を目指せます。
なお、詳細資料はこちらからダウンロードできるので、気になる方はぜひご活用ください。
社内コミュニケーションは「モチベーションやエンゲージメントの向上」「業務の円滑化」「チームワークの強化」などの観点から、企業活動を行なううえで必要不可欠です。
近年はリモートワークやフレックス制の導入に伴い、多くの企業で対面での会話が減少傾向にあります。一方、社内コミュニケーションの数は目に見えないため、なかなか課題に気づくことができません。「以前よりも職場の雰囲気が悪くなっている」「うまく連携が取れない」といった違和感が、社内コミュニケーション不足のアラートです。そんなときはぜひ、社内イベントや面談など施策と並行して、ツールをうまく活用し、社内コミュニケーションを改善してみてください。