サンクスカードとは、職場で一緒に働く従業員同士が感謝を伝え合う仕組みです。
「仕事を手伝ってくれた」「わかりやすく教えてくれた」「期待以上の成果を出してくれた」など、仕事のあらゆる場面で感謝の気持ちを持つことは多いでしょう。しかし感謝をうまく伝えられないと、相手のモチベーションが下がったり人間関係が悪化したりするリスクがあります。
サンクスカードを活用すると、相手への感謝の気持ちを文章で伝えることが可能です。お互いの信頼関係の構築やモチベーションアップにつながり、コミュニケーションの活性化も期待できます。また、社内に感謝が行き交ってお互いに認め合えるようになれば、称賛文化が醸成されて組織体制の強化にもつながるでしょう。
サンクスカードの導入によって信頼関係構築やモチベーション向上などの効果が期待できますが、うまく運用できずに残念ながら失敗してしまう企業も見受けられます。どのようなことが原因で失敗してしまうのか、よくある事例を見ていきましょう。
サンクスカードを贈ることを強制したり、強引なルールを設定してしまったりすると、従業員の負担になり利用が停滞する恐れがあります。また、日々の業務が忙しく、サンクスカードを書く時間が負担になる可能性も考えられます。
最初は「日報を書くついでに1通贈る」「短文で贈ってみる」など縛りすぎないルールを設定し、気軽に利用できるよう促しましょう。
サンクスカードの制度は従業員同士のコミュニケーションやモチベーションなどに効果的ですが、感謝を伝えることに慣れていないと「気持ち悪い」「苦痛だ」などと感じる人もいます。そうした嫌悪感を抱いている人は、サンクスカードの効果や有用性を理解できていないことが多いはずでしょう。
なぜサンクスカードの制度を導入するのか、どのような効果が期待できるのか、などを伝えて理解してもらうことが大事です。
全社を巻き込んでサンクスカードを導入する場合、「そもそも部署が違うと関わり合いがないから、サンクスカードを贈るきっかけがない」「リモートワークだから、他のメンバーとの関わりが少ない」といった状況になりかねません。こうした状況だとサンクスカードに参加できない人も発生してしまい、従業員や部署によって利用率に大きな差が生じてしまいます。
サンクスカードの導入目的を全従業員に理解してもらい、気軽に参加できるようなルールを作って、誰でも参加しやすいような仕組みを作りましょう。
サンクスカードの導入には失敗も起きやすいですが、うまく運用することで大きな効果につながり成功している企業も少なくありません。そこで、サンクスカードの導入企業の成功事例を紹介します。
今回は、サンクスカードツール「RECOG」の導入企業から8社をピックアップしました。RECOGは、サンクスカードを送れる「レター機能」や、社内掲示板として使える「トークフィード機能」などが搭載されています。
キャリアショップを展開する株式会社テレックス関西と、コンサルティング事業を手がける株式会社アローリンク、クラウドサービスを開発・提供するソーシャルデータバンク株式会社で構成されるアローグループは、RECOGの前身となる「ホメログ」からサンクスカード制度を取り入れています。2015年の導入以来、10年以上にわたってRECOGを活用して組織を活性化しています。
【運用ポイント】
アローグループは、RECOGの導入から数年経って形骸化してきたタイミングの2023年頃に、リーダーや若手層を中心に利用を再活性化させるための取り組みを開始。会社の経営層や部署のリーダーの積極的な活用や、積極的にサンクスカードを送っている従業員の表彰などによって、従業員の利用を促すことができ社内に称賛文化が根付きました。
雇用形態を問わず全従業員が利用でき、さらに内定者も参加できるようにしているため、部門や勤続年数などを超えたコミュニケーションを実現しています。
【導入効果】
面と向かって感謝の気持ちを伝えるのは照れくさくても、サンクスカードを通じてなら抵抗感なく伝えられるため、社内に感謝が飛び交い称賛文化が形成された同社。当人同士だけでなく全従業員がサンクスカードの内容を確認できるため、誰かの頑張りが誰かの刺激になって好循環を生み出せているといいます。
また、在宅勤務が多い部署でもRECOGの活用によってコミュニケーションが活発になり、直接顔を合わせたことがないメンバー同士でも親交を深められています。
「社労士業界で社員幸福度No.1の社労士事務所」のビジョンを掲げる社会保険労務士法人はるか社労士事務所は、ビジョン達成に向けた取り組みのひとつとしてRECOGを導入しました。導入当初は全員が利用してくれるわけではなく活性化が進まない時期もありましたが、今ではRECOGを通じて感謝・称賛が往来するようになりビジョン達成へと着実に進んでいます。
【運用ポイント】
社内の利用率が不安定だった導入当初、RECOGをさらに利用するためにはどのようなことが必要か従業員にヒアリングしたという同社。そこで「感謝・称賛という観点でレターを贈るのはハードルが高い」という意見が出たため、もっと気軽な内容でも送れるように運用ルールを見直しました。
バッジ機能を活用し、条件に該当している人にはバッジを設定してレターを贈ることにより、相手に感謝するだけでなく誰かの頑張りも称賛できる組織体制が構築されています。
【導入効果】
RECOG導入後は相手の良いところに自然と目がいくようになり、従業員一人ひとりの強みを把握できるようになり、相互理解が深まったといいます。また、年1回の戦略会議で1年間のレターの中から特に素晴らしいものを「ナイスレター」として紹介しており、1年の振り返りにも寄与しています。
このように、人事・労務のプロである社労士という仕事だからこそ自社の従業員たちも大事にし、RECOGを活用して感謝・称賛の文化を作り従業員幸福度を高めています。
ITサービスインテグレーターのNECネクサソリューションズ株式会社は、NECグループ全社で取り組んでいるエンゲージメントスコア向上の実現のためにサンクスカードの導入検討を開始。操作性のよいインターフェースや豊富な機能面などに魅力を感じてRECOGを導入したそうです。
【運用ポイント】
同社では、各部署から選出したメンバーで運用チームを編成してRECOGを運用し、定例会議にて利用データを基に利用促進策を検討しています。
また投稿フィードでは、社内のサークル活動の報告レポートや、季節に合わせた投稿キャンペーンなどを投稿することで情報発信のハードルを低くし、レターを贈りやすい環境を作っています。
【導入効果】
導入後、従業員同士の業務内容だけでなく、人柄や頑張りも可視化されるようになり相互理解が深まったといいます。また、レターを贈られた従業員が自信を持てるようになりモチベーションアップの効果も。
職場環境やモチベーションの改善は、定量的な効果としても出ています。RECOG導入後に実施したサーベイでは「コミュニケーション」が57%から60%に、「心理的安全性」が60%から67%に、「チーム間共働」が55%から59%に改善しており、エンゲージメントが向上していることが裏付けられました。
ライフネット生命保険株式会社の電話やメールなどで顧客対応を担当するコンタクトセンターでは、電話対応とテキスト対応のチームに分かれて業務を行なっています。電話チームは出社、テキストチームは在宅勤務が多いハイブリッドな組織のため、直接顔を合わせる機会が少ないことが課題でした。また、出社した際にも席を立って直接お礼を言うことが難しい状況もあり、対面でのコミュニケーション不足を補う目的で2020年からRECOGを導入して課題解決へと取り組んでいます。
【運用ポイント】
コンタクトセンターは顧客からの問い合わせが来たら対応しなければならず、すべてのメンバーを集めて説明会を開くのは困難だったため、まずは導入背景や基本的な使い方を記載したメールを全員に送りました。
レター機能は運用ルールを設けていないため、スマホアプリからスキマ時間にレターを贈っているメンバーや、週に1度レターを贈るための「感謝の時間」を作っているメンバーなど、自由に利用しています。また、投稿フィードは趣味や旅行、ペットのことなど自由に投稿しており、そこからコミュニケーションに発展している様子も見られているそうです。
文章を作ったり感謝を伝えたりするのが苦手なメンバーには、他の人のレターを見てみるだけ・拍手するだけでもよいから参加するよう呼びかけています。
【導入効果】
強要せず自由にRECOGを利用できる環境にしたことで、ログイン率や利用率が伸び活発にレターを贈り合っている状況になったという同社。出社・在宅勤務が混ざったハイブリッドな組織でも、コミュニケーションが活性化され、部署全体の雰囲気が明るくなったと感じているそうです。
RECOGを活用して明るく楽しい職場を作ることにより従業員満足度やモチベーションが高まれば、顧客対応のパフォーマンスも向上して顧客満足度の向上にもつながるだろうと期待しています。
健康食品やサプリメントなどの通信販売を手がける株式会社京福堂では、従業員数の増加に伴い部署間のコミュニケーションの課題が生まれ、エンゲージメントサーベイの結果で「称賛・承認」のスコアが伸び悩むようになりました。そこで、称賛・承認の文化をつくっていくためにRECOGの導入に踏み切りました。
【運用ポイント】
各部署からRECOGの利用促進メンバーを選出して委員会を作り、毎月の目標を決めて運用することで社内への定着を図りました。最初に「悲しい想いをする人がいなければ、どんな内容を何時でも投稿してOK」というルールの設定も、従業員の気軽な利用を促しているといいます。
投稿機能は社内コミュニケーションの場、レター機能は称賛を贈り合う場として活用。「委員会メンバーは週に2回投稿する」「毎週金曜日には全員が必ずレターを贈る」というルールを設け、定期的な利用につなげています。
【導入効果】
導入から約4カ月で、導入前に課題となっていたエンゲージメントサーベイの「称賛・承認」のスコアが一気に4ポイントもアップしたという同社。投稿内容からコミュニケーションが広がったり、面と向かって伝えるのは恥ずかしいことをレターで伝えたりできるようになり、今ではRECOGが社内の基盤となっているといいます。
株式会社SBI証券のカスタマーサービス部門では、オペレーターの早期離職が課題となっていました。人間関係が構築される前の入社早々の離職が多いことから、職場環境を向上させるために紙のサンクスカードを採用。しかし、日々の電話応対で紙のカードを書く時間を確保できなかったことから定着しなかったため、並行してRECOGでのサンクスカードの運用を試みました。
【運用ポイント】
トライアルの時点ですでに多くのレターが飛び交い、多くのオペレーターが「継続して使いたい」という意見だったためRECOGを導入。管理者のみ、週に贈るレターの件数についてのルールを設定して運用を開始しました。導入から半年ほど経つと、レターを受け取ったオペレーターには「他の人の良いところを見つけよう」という気持ちが、他のオペレーターには「自分もレターを貰えるように頑張ろう」という気持ちが芽生えるようになり、社内へ浸透していったそうです。
また、お客さまからの感謝の言葉をいただいた回数を集計し、投稿フィードにて月1回ランキングを発表するようにしたことで、全員の頑張りを可視化できる体制を整えました。
【導入効果】
RECOG上のコミュニケーションから組織の人間関係のつながりを可視化する「組織図」の機能を活用し、オペレーターの配属や席替え、フォロー体制などに役立てています。また、新人が入った際にRECOGでレターを贈り歓迎する文化もできました。その結果、新人の離職率はRECOGの導入前後1年間で9.1%もの減少に成功しました。
また、個人やチームの頑張りの可視化によって、月間の対応件数や、お客さまから感謝の言葉をいただく回数なども改善。応対品質の向上にもRECOGが役立っているといいます。
印刷物全般の企画・デザイン、製造、販売の事業を展開する総合印刷会社・インパムグループ。そのうちの株式会社インパムシールは、シール・ラベル印刷製造を手がけています。
もともと紙のサンクスカードを20年以上続けてきており、すでに称賛文化が根付いている会社です。しかし、紙媒体ならではの「書く手間」「保管する手間」などに不便さを感じ、RECOGを導入してデジタルへ移行しました。
【運用ポイント】
紙のサンクスカードを運用してきたこともあり、RECOGの定着には大きな課題はありませんでした。Slackで行なっていた日報をRECOGへ移行したり、厳しいルールを設けずにラフに利用できるようにしたりするなど、利用を促進する工夫も行なってきたそうです。
【導入効果】
製造業は職人気質で口下手な人も多いですが、RECOGなら気軽に感謝の気持ちを伝えられるため、年配の従業員もRECOGを活用してレターを贈っているという同社。もともと根付いていた称賛文化に加えて、デジタル化への移行により社内のコミュニケーションが活発になっているといいます。
医療法人社団山の丘よつば会CLOVER DENTALは、インプラントやマイクロスコープなどを用いた高度な医療にも対応する、地域に根差した歯科医院です。感謝を伝え合う文化をつくるために、紙のサンクスカードを運用したり、従業員同士で「ありがとう」を伝えた回数を記録したりしてきたものの、次第に形骸化。そこで、RECOGの前身サービス「ホメログ」を導入しました。
【運用ポイント】
CLOVER DENTALでは形骸化を防ぐために「診療のなかで伝えられていない感謝をレターで贈りましょう」などとポジティブな呼びかけを定期的に行ない、基本的にはルールを設けずに自由に利用しています。毎月贈ったレター数のランキングを発表し、1位の従業員を表彰する仕組みを構築したことも、RECOGの利用を後押ししました。また、レターを贈る数が少なめの従業員には運用担当者からレターを贈り、レターをもらった際の嬉しさを感じてもらって利用を促しているとのことです。
【導入効果】
取り組みの成果もあり、レターの送信率は約80%以上、レターの受信率は約90%以上と高い水準を維持。歯科医師・歯科衛生士・保育士・受付など多職種が働く職場のためお互いの仕事ぶりが見えづらかったですが、RECOGを通じてお互いのよいところや、その日のできごとを把握できるようになりました。
サンクスカードツール「RECOG(レコグ)」は、パソコンやスマートフォンなどから手軽に感謝の気持ちを伝えられるツールです。「仕事を手伝ってくれてありがとう」「受注おめでとう!」などの感謝・称賛を伝えることで、社内に称賛文化を醸成できます。
使いやすいインターフェースと手厚いサポートで、導入企業は1,500社以上にのぼりました。
RECOGは以下の機能が搭載されています。
このほかにも組織を活性化できるこだわりが詰まっているので、詳細につきましては以下の資料をご確認ください。
まとめ 今回紹介した導入企業の成功事例を、サンクスカードの導入・運用に活かしてみてくださいね。
サンクスカードはうまく運用できれば、社内のコミュニケーションが活性化されるだけでなく、モチベーションアップや離職率改善などの効果も期待できる、価値のある取り組みです。まずは社内にサンクスカード制度の有用性・導入目的を伝えるとともに、ルール作りや声かけなどを工夫して気軽に参加できるよう促しましょう。