モチベーションの意味
「モチベーション」には行動や決断のきっかけとなる「動機付け」という意味合いで使われます。
モチベーションは「やる気」や「意欲」と混同されがちですが、厳密には異なるため区別しましょう。やる気と意欲は、それぞれ「行動を継続させるための力」を意味します。やる気と意欲が生まれるのは、モチベーションという原動力ありきです。
モチベーション低下の原因は?
従業員のモチベーション低下を防ぐためには、原因や背景への理解が大切です。考えられるモチベーション低下の原因について解説します。
人事評価に不満がある
「頑張っているのに評価されない」「怠惰に見える社員が高評価を受けている」など、人事評価への不満を抱える社員も少なくありません。どのような立場からみても公平な評価と感じられるよう、明確な評価基準を定め周知しましょう。
報酬が低い
労働に見合った報酬が支払われないと、仕事の目的や動機を見失いやすくなります。仮に、業績不振などもっともな理由があったとしても、給与減額や賞与カットはモチベーション低下につながりやすいです。また、不満を抱えたまま仕事をすると、生産性に影響するかもしれません。
職場内の人間関係に悩みがある
いきすぎた個人主義、パワハラなどがみられる職場では、人間関係のトラブルが起きがちです。トラブルによるストレスは、社員のモチベーションに大きな影響をもたらします。特に、相性がよくない人とチームやペアを組んで働く場合は、仕事の遅延・質の低下が懸念されます。
会社への帰属意識が低下している
企業やチームに対する愛着心や忠誠心が薄れると、社会的欲求や承認欲求が満たされにくくなります。たとえば、チーム編成や評価基準を改めたときに、自分にとって好ましい環境ではなくなったと感じる社員が出てくるかもしれません。社員の帰属意識の動向に気をつけてください。
仕事にやりがいや魅力を感じられない
仕事にやりがいや魅力を感じられず、「義務」と捉えている場合はモチベーションが低下しやすいです。さらに、誰からも評価や感謝をされなければ、仕事に意味や達成感を見出せません。仕事の目的や意義を再確認してもらい、あわせてやりがいや魅力を伝えましょう。
従業員のモチベーションアップによる企業側のメリット
従業員がモチベーションアップすると、企業にはどのようなメリットがあるのでしょうか。企業のメリットについて解説します。
仕事に対する意欲が高まりパフォーマンスが向上する
モチベーションがアップすると「もっと頑張りたい、成果を出したい」という気持ちになり、意欲的に仕事に取り組めるようになります。その結果、自身のスキルアップに挑戦したり、自分の弱みを把握して改善しようと試みたりするため、パフォーマンスが向上して成果につながりやすくなるでしょう。
人材育成の効率が上がる
モチベーションが高まれば自発的に行動するようになり、スキルを習得したり他メンバーのノウハウを吸収しようとしたりするなどポジティブな取り組みが生まれます。企業側が働きかけなくても自主的に学習しようとする従業員が増えれば、人材育成が効率化して組織のスキル底上げにつながります。
生産性の向上につながる
従業員一人ひとりの集中力やパフォーマンスが高まると、組織全体の生産性が促進されます。また、お互いに協力して仕事を進めようという意識にもなり、自然とフォローや協業の仕組みが構築されていくでしょう。一人ひとりのモチベーションを高めることは、組織の活性化にもつながるのです。
採用コストを削減できる
仕事へのモチベーションが高い従業員は、今の仕事でもっと成果を出したいという気持ちになるため離職を防止する効果もあります。離職率が下がれば、優秀な人材を確保しておくことができ、不要な採用コストを削減できます。
また、離職率が低いことは採用活動の際の求職者へのアピールポイントになります。その結果、少ない採用コストでも優秀な人材の採用が可能です。
モチベーションアップにつながる2つの動機付け
モチベーションは「外発的動機付け」と「内発的動機付け」から構成されているため、両側面からアプローチすることでモチベーションアップが期待できます。それぞれ、どのようなものなのか見ていきましょう。
外発的動機付け
外発的動機付けでは、報酬や賞賛などの外的要素をトリガーにモチベーションを高めます。
なお、外発的動機付けは一時しのぎになりがちで、経営者の予想を超えるモチベーションを生み出すのは困難です。外発的動機付けの具体的な要素について、以下で解説します。
生理欲求
生理欲求とは生命維持にかかわる欲求で、食欲・性欲・睡眠欲などが挙げられます。人間の根底にある欲求であるため、何もしなくても自然と湧き上がります。
安全欲求
衣食住の「衣・住」に関わる欲求です。「不安定な生活を脱したい」「安心できる環境を手に入れたい」という気持ちから、身体的な安全と経済的安定を求めます。評価体制、給与など金銭的報酬、懲戒などペナルティなどが安全欲求に影響を及ぼします。
社会的欲求
グループや仲間に属したいという社会とのつながりを求める欲求です。「自分の存在を受け入れてほしい」「愛されたい」「必要とされたい」という気持ちから生じます。
内発的動機付け
内発的動機付けでは、個々の心から生まれる目標意識や好奇心などをトリガーにモチベーションを高めます。
報酬などの準備が不要な一方、定性的なもののためどの程度モチベーションが向上したのか把握しにくいという問題があります。内発的動機付けの具体的な要素について、以下で解説します。
承認欲求(尊厳欲求)
他者からの尊重や尊敬を求める欲求です。外発的動機付けの社会的欲求が満たされると、それぞれが所属する社会に対して承認欲求が芽生えます。円滑な人間関係、会社への帰属意識などが挙げられます。
自己実現欲求
理想やイメージを実現したいという欲求です。自主性やチャレンジ精神を生み出し、働き方を考えるようになります。「自分らしく生きたい」「夢を叶えたい」など、もっとも人間らしい欲求といえます。
モチベーションアップに関連する理論
かつての心理学者たちがモチベーションに関して提唱した理論では、現代にも通用する考え方や応用できる方法などがあります。そこで、モチベーションアップに関連する3つの理論を紹介します。
マズローの欲求5段階説
マズローが提供した「欲求5段階説」とは、人間の欲求は5段階に分かれていて、ピラミッド型の階層で構成されているとする理論です。具体的には以下の5つの欲求となり、1の「自己実現欲求」を頂点にした階層形式となります。
- 自己実現欲求:自分自身が目標とする姿になりたいという欲求
- 承認欲求:他者から認められたい、自分自身を認めたいという欲求
- 社会的欲求:仲間に入りたい、みんなに受け入れられたいという欲求
- 安全欲求:心身ともに健康で十分な経済力があり、安全に暮らしていきたいという欲求
- 生理的欲求:食欲、睡眠欲など人間が生きているうえで必要最低限の欲求
従業員のモチベーションが低下している要因は、この5つの階層のうちのどれかであることが多いため、まずは従業員自身からヒアリングして理解することが重要です。
バーズバーグの二要因理論
バーズバーグが提供した「二要因理論」とは、「動機付け要因」と「衛生要因」の2つが仕事に対する満足度につながっているとする理論です。動機付け要因と衛生要因は、それぞれ以下のような例が該当します。
- 動機付け要因:目標を達成した/他者から評価された/興味のある仕事に就けている、など
- 衛生要因:給与/福利厚生/職場の人間関係、など
モチベーションを高めるのが「動機付け要因」で、モチベーションを低下させるのが「衛生要因」であるとし、関連し合ってモチベーションに影響しているとしています。
マクレランドの欲求理論
マクレランドによる「欲求理論」とは、仕事に関する行動は以下の4つの欲求のいずれかに基づいているとする理論です。
- 達成動機:目標や責任を成し遂げる欲求
- 権力欲求:他者に認められたり、他者への影響力を持ちたいという欲求
- 親和欲求:チームワークを重んじて良好な人間関係を築きたいという欲求
- 回避欲求:失敗・困難・批判を避けたいという欲求
人によって4つの欲求の重要度が異なるため、一人ひとりに適切なアプローチをする必要があります。
モチベーションアップのための5つの具体策
本章では、従業員のモチベーションを高める具体策を5つ紹介します。
社員がチャレンジしやすい環境を整える
チャレンジするメリットを感じさせ、モチベーションを生み出しましょう。
経営層から管理職、そして担当へと指示が伝わるトップダウン方式では、従業員の自主性やチャレンジ意欲を奪いかねません。また、従業員自身がやりたいことがあっても、失敗を恐れる環境では行動へ移すことは難しいでしょう。
銃ぎょいんの意見を積極的に取り入れつつ、気兼ねなくチャレンジできる職場環境を構築してください。
キャリアアッププランに合う働き方を準備する
従業員それぞれの理想のライフスタイルやキャリアプランにあわせて働き方を選べると、モチベーションアップにつながります。
出産や子育て、介護などを経験するとき、仕事を続けるメリットが小さければモチベーションが湧きにくくなります。ただし、時短勤務やリモートワークなどで働き方を選べると、仕事を続けることに前向きになり、働くモチベーションを維持できるでしょう。ライフイベントに合わせ、従業員が仕事に対するモチベーションを維持できるようにサポートしましょう。
コミュニケーションを活性化する
職場の人間関係がうまくいかなければ、社会的欲求が満たせないため仕事へのモチベーションは低迷します。組織内のコミュニケーションを活性化させるため、定期的にミーティングを行なったり、コミュニケーションツールを導入したりしましょう。
コミュニケーションが円滑にとれると、従業員同士でノウハウの共有や助け合いができます。「他メンバーのノウハウを吸収してスキルアップできる」「仕事を抱えすぎていても、他メンバーが協力することで円滑に仕事が片付く」などのメリットが得られます。
職場環境に不安があれば、社内専用の相談窓口を開くなどして悩みを解決し、コミュニケーションの土台を作りましょう。
評価と感謝をしっかり伝える
従業員の成果とプロセスの両方を評価し、頑張ったことに対する感謝・称賛の気持ちを伝えましょう。従業員の承認欲求が満たされるためモチベーションが高まり、会社への愛着がわきます。
昨今では「サンクスカード」という制度が注目されています。サンクスカードとは、感謝や賞賛の気持ちをカードに手書きして、相手に手渡す制度です。手書きや手渡しに負担を感じる人に向け、アプリでサンクスカードを送り合う仕組みも開発されています。
会社の方向性を共有する
企業の経営方針やビジョン、目標や達成すべき使命を従業員一人ひとりに理解してもらいましょう。会社の方向性がわかれば、会社への帰属意識が高まり、モチベーションが向上します。また、自社の方向性を理解していると、自分がやるべきことを自主的に考えられるようになります。
モチベーション維持のコツ
従業員のモチベーションを高められたとしても、持続できなければ元の状態に戻ってしまいます。モチベーション維持のコツについて紹介します。
将来のビジョンと目標を持たせる
将来のビジョンと目標を明確にしましょう。たとえば「お手本となる先輩社員を見つけさせる」「研修などで企業理念や経営方針について通達する」などの方法が挙げられます。ゴールがわかっていると、どのように努力すべきか考えやすいため成果を得やすいです。
振り返りの機会を持ち改善策を見つけさせる
アドバイスやフィードバックをしたあとは、社員自身に改善策を考えさせるように習慣化させましょう。ただし、過剰に振り返りを促すと、従業員は疲弊してしまいます。企業の狙いとは裏腹にモチベーションの低下をもたらすため、無理のない範囲で実施してください。
自己回復の時間を確保する
睡眠不足や不規則な食事、ストレスなどはモチベーション維持に悪い影響を及ぼします。従業員が優れたパフォーマンスを発揮できるよう、長時間労働の是正や社食の整備などに取り組むのも良いでしょう。
モチベーションアップで気を付けたい3つのポイント
社員のモチベーションを上手く高めるにはコツがあります。気を付けたいポイントについて解説します。
「やる気」と区別する
「やる気・意欲」は目に見えず、周囲の働きかけで持続させるのは困難です。特に体調やメンタル面などは、状況しだいで簡単に変化します。したがって「やる気を出せ」などというだけではモチベーション向上が見込めません。
フィードバックのタイミングと伝え方に配慮する
心に響くフィードバックのために、タイミングや伝え方を意識しましょう。ポイントは、すぐ伝えることです。時間が空くと記憶があいまいになってしまいます。また、感情的・抽象的な表現は避け、具体的なフィードバックを心がけてください。
画一的な対応を避ける
社員それぞれ、ライフスタイルや仕事へのモチベーションは異なります。そのため、画一的な対応では逆効果かもしれません。個人に関心を持ちつつ、モチベーション低下の原因に寄り添う姿勢が求められます。
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まとめ
社員のモチベーションが高まると、企業にとって大いにメリットがあります。モチベーションはさまざまな要素が構成されているため、従業員一人ひとりに合わせたアプローチが重要です。モチベーション向上施策として、職場環境を改善する、感謝や賞賛の気持ちを伝えあうなどの対策を取りましょう。
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