エンゲージメントとは?
ここでは人事におけるエンゲージメントの定義、従業員満足度やマーケティング用語のエンゲージメントとの違いについて解説します。
人事におけるエンゲージメントの定義
人事におけるエンゲージメントとは、従業員が会社に対して持つ愛着、思い入れなどのことです。この意味を拡張して、会社と従業員の信頼関係や相互に貢献し合う関係という意味を込めることもあります。
エンゲージメントを高めることで、会社と従業員が好ましい影響を与え合い相乗効果を発揮しやすいことから、近年、人事の分野で特に注目されている考え方の1つです。
従業員満足度との違い
従業員満足度は、福利厚生や労働環境など、職場に対する居心地の良さを表す指標です。エンゲージメントとの違いは、従業員満足度が高まったとしても、会社への貢献度が高まるわけではないことです。従業員満足度と生産性や業績との相関性は証明されていません。
マーケティング用語のエンゲージメントとの違い
Webマーケティング用語のエンゲージメントは、消費者が自社の商品やサービスに興味や関心を持っている度合のことです。例えば特定のデザイナーの商品なら、機能性が悪くても購入する消費者は、エンゲージメントが高いとされます。
マーケティングのエンゲージメントは消費者と会社の関係、人事のエンゲージメントは従業員と企業の関係であるため、全く違う用語です。
エンゲージメントを高める3つのメリット
生産性アップ
従業員のエンゲージメントが高まると、業務へのモチベーションが上がり、職場のコミュニケーションが活性化されます。その結果、生産性が向上することが期待できます。
業績向上
エンゲージメントが高い企業と低い企業では、営業利益に大きな差が生まれることが知られています。その大きな要因は、従業員が提供するサービスや商品の質が向上することで、顧客満足度が高くなることです。
離職率低下
従業員が会社に対して愛着を持てば、当然ながら離職率は低下します。労働者不足に悩む企業が、長期間働いてもらうためにエンゲージメントを高める施策を行うことは、ごく一般的になっています。
エンゲージメントの測定方法
エンゲージメントを測定する方法はさまざまですが、一般的に初めに実施するのは、従業員へのアンケートです。できれば月1回~半年に1回程度の間隔で継続して実施しましょう。定期的な測定には、メンバーの活動状態やコミュニケーション状態をモニターできるHRテックツールの導入が有効です。
エンゲージメントの指標となるのは次の3つの要素です。質問やモニターする項目はこれらの要素と関連づけて選びましょう。
・エンゲージメントレベル指標:仕事に対してどれぐらいのやりがいを持っているか
・エンゲージメントドライバー指標: 職務の難易度、組織との関わり方などエンゲージメント向上の要因となる指標
・エンゲージメント総合指標:会社に対する総合的な評価(将来性への期待や他人に就業を勧められるかなど)
エンゲージメントが下がる5つの原因
なぜ従業員のエンゲージメントは下がってしまうのでしょうか。ここでは組織体制やコミュニケーションの取り方などの問題を取り上げます。
年功序列で給料が決まる
年功序列で給料が決まることがわかっていれば、従業員は積極的に自分のスキルを高めようと思わないでしょう。自発的に企業に貢献したいと思える環境がないことは、エンゲージメントを下げる要因の1つです。
能力主義や成果報酬制など、能力を正当に評価する制度を導入することも、自社に合わせて検討したほうがよいといえます。
マネジメント層が多すぎる
さまざまな人から意見を言われること、特にネガティブな注意を受けることは、エンゲージメント向上に欠かせない自主性を縛りがちです。このような弊害は、マネジメント層が多すぎて組織が複雑化、細分化している企業で多くみられます。
報告・連絡・相談の負担が大きくなり、本来の業務に集中できないことも、仕事へのやりがいを失わせる要因です。
従業員の自発性を尊重していない
コンプライアンスが厳しい会社や強いトップダウン方式を採用している会社は、従業員の自発性を十分尊重していない可能性があります。もちろん、一定の品質や顧客情報などを守ったり、従業員を経営方針に従わせたりすることは大切です。
しかし、現状エンゲージメントが低いなら、従業員の創意工夫やリーダーシップを必要以上に制限していないかチェックする必要があります。
従業員の要望を把握できていない
フレックス制度の導入や、長時間労働の改善など、多くの従業員が持っている意見を把握できていないとエンゲージメントが下がることがあります。会社がエンゲージメントを高める施策を実施しても、従業員のニーズとずれてしまうと、十分な効果が発揮されません。
成果や喜びをシェアできていない
成果を出した従業員に声かけができていない職場は、エンゲージメントが低くなる傾向があります。個人の達成感は職場の評価でより高まり、確かなものとなるからです。特に売上や顧客獲得などの明確な結果を出しにくい業務を行う従業員の場合は、成果や喜びをシェアできないと、モチベーションを失ってしまいがちです。
エンゲージメントを高める5つの方法
エンゲージメントを高めるには、どのような施策を実施すればよいのでしょうか。ここでは5つの方法を紹介します。
エンゲージメントを高める方法1:会社の行動指針(バリュー)の浸透
経営者が会社の行動指針(バリュー)を従業員に浸透させることが重要です。バリューをオープンにすることで、会社と従業員の間に信頼感が生まれやすくなるからです。
バリューを浸透させるには、日ごろの継続的な取り組みが欠かせません。標語を掲げるだけでは、なかなか浸透しないからです。たとえば「顧客に対する誠実さ」といわれても、抽象的でわかりにくい面があるでしょう。具体的には、経営層がミーティングで直近の事例を挙げながらバリューを説明する、質疑応答の場を設けるなど、積極的な関与が求められます。
エンゲージメントを高める方法2:コミュニケーションの活性化
社内コミュニケーションが活性化され、人間関係が順調になるにつれ、エンゲージメントが向上しやすいことが知られています。エンゲージメントを高めるには、自然に任せるのではなく、1on1ミーティングや面談などの定期的な施策を行うことが重要です。
エンゲージメントを高める方法3:多様な働き方の推進
テレワークや短時間勤務など多様な働き方を推進することで、エンゲージメントが高められます。これらは従業員満足度の向上施策ですが、自分なりの働き方や会社への貢献方法をみつけることを支援するエンゲージメント向上施策でもあるからです。
ワーク・ライフ・バランスを重視する従業員も増えているなか、多様な働き方の推進も、エンゲージメントを高める方法の一つです。
エンゲージメントを高める方法4:スキルアップ制度を整える
キャリアアップが具体的にイメージできると、エンゲージメントが高まりやすい傾向があります。その主な理由としては、給与や待遇面の向上を目標にモチベーションを保ちやすいことや、業務の難易度が適切にコントロールされていることなどが挙げられます。
また、人材育成の施策も大切ですが、上司が個人の活躍や強みを把握して、適切な成長のチャンスを与えることも重要です。
エンゲージメントを高める方法5:サンクスカードの導入
サンクスカードとは、従業員同士で感謝の気持ちを伝え合う仕組みのことです。サンクスカードの導入によって、相手の良さを探す習慣が付くことや、他人に評価されることで仕事にやりがいを感じるなど、多くのメリットがあります。先に紹介したバリューの浸透やコミュニケーションの活性化をサポートする手段としても、サンクスカードは効果的です。
エンゲージメントを高めることができた企業事例
ここでは、エンゲージメントを高められた企業の成功事例を2つ紹介します。
インパクトジャパン株式会社|バリューの浸透
インパクトジャパン株式会社は「誠実さ」「熱中」などの複数のバリューを掲げていますが、なかなか従業員に浸透しない課題を抱えていました。その対策として、どの行動がどのバリューにあてはまるのかをラベリングして、従業員の間で共有できないかと考えました。
そこで活用したのがRECOGの「バリュー浸透プログラム」機能です。小さな成果や行動でもバリューに合致した際は、スマホ経由の「レター」で伝えて共有しました。目安が具体的にわかるため、ベテランから新人までバリューの理解が進み、エンゲージメントを向上できました。
日本ツクリダス株式会社|ほめ合える環境を会社が提供
日本ツクリダス株式会社はサンクスカードを導入していましたが、紙媒体であったため朝礼に参加できないパート従業員に手渡せない問題がありました。
そこで、デジタルのRECOGのサンクスカードを導入しました。RECOGのサンクスカードは時間や場所を問わず、気軽に贈れることが特徴です。つい言いそびれてしまう「ありがとう」も数タップで送信できます。気軽に使えるRECOGのサンクスカードは従業員の間に定着し、エンゲージメントを高めるために欠かせないコミュニケーションツールになったということです。
まとめ
エンゲージメントを高く保つには、社員のモチベーションアップが重要です。サンクスカードやバリュー浸透のためのツールを活用するなど、自社に合ったエンゲージメント向上の施策を実施していきましょう。
シンクスマイルのRECOGは、使いやすいデジタルのサンクスカード機能、一体感を高めるバリュー浸透機能などを搭載したHRテックツールです。従業員同士が報酬を贈り合える「ピアボーナス」にも対応しています。この機会に、手軽に従業員のモチベーションアップ施策ができるRECOGの導入を検討してはいかがでしょうか。