創業以来培われてきたノウハウを活かし、医薬品原料の合成・製造を手掛ける富士フイルムワコーケミカル。同社は、健康保険組合連合会(神奈川連合会)より「健康優良企業」に認定されており、健康経営に取り組んでいます。 今回は、広野工場の工場長である小岩様、管理部の佐藤様、製造部の穂坂様にRECOGを導入した背景や導入後の効果についてお伺いしました。
物理的な距離感を克服し、コミュニケーションの活性化を目指す
ー導入背景を教えてください。
佐藤様:広野工場は敷地面積が非常に広く、作業場と作業場が物理的に離れているため、従業員同士が顔を合わせる機会が少ない傾向があります。
また、医薬品という厳格な品質・衛生管理が求められるものを製造しているため、現場はモノづくりに真剣に向き合っています。こうした環境のなか、従業員は皆よい緊張感を保ちながら生産業務に携わっていますが、その一方でプレッシャーを感じてしまう場面も少なくないはずです。工場長はじめ私たちは従業員のストレスを少しでも減らし、皆が楽しく仕事をしてもらいたいという思いがありました。
穂坂様:これまでも、各グループごとに称賛したい内容をスプレッドシートに入力していく「サンクス活動」を行なっていましたが、目立った効果は表れませんでした。
また、当工場は基本的に作業場同士が顔を合わせる機会がそれほど多くありません。そのため、「同じ敷地内で働いているにも関わらず、一度も話したことのない人がいる」というケースも少なくなかったように思います。
佐藤様:RECOGを知ったきっかけは、親しくさせていただいている企業の方からの口コミでした。「従業員同士のコミュニケーションの促進に、RECOGというツールが役立った」と聞き、弊社でも導入したらどうかという話に至ったのです。
穂坂様:こういったツールで普段からコミュニケーションをとれていれば、実際に顔を合わせたときにも自然と会話が生まれやすいのではないかと思いました。
また、誰しも自分の頑張りを褒められることは嬉しいものなので、RECOGを活用することで従業員が気持ちよく働ける環境を整備できればという気持ちもありましたね。
管理職に研修を実施し、「褒める」を学ぶ機会を設ける
ー導入する際、どのような準備を行なったか教えてください。
佐藤様:RECOGを導入するにあたって、まずは管理職に「褒め研修」を実施しました。
褒め研修とは
「褒める」に特化し、社内のコミュニケーションを円滑にする研修です。褒める重要性や褒め方を学んでいただき、参加者同士のグループワークを通じて実践的なスキルを身につけることができます。
称賛文化を醸成するにあたって、まずは管理者側に「褒める」ということに慣れてもらうことが重要だと考えたためです。導入当初は管理者に対して「月10通以上レターを贈る」と、ある種のノルマを課していましたが、導入後1年も経つと皆自主的にレターを贈るようになりました。
また、各部署からこうした施策に積極的なメンバーを1名ずつ集め、利用促進チームである「スマイルクラブ」を発足しました。
利用促進チームによる多彩な施策を実施
ーどのように運用されていますか。
佐藤様:スマイルクラブでは月1回のペースで意見交換会を開き、それぞれの部署での利用状況や効果について話し合う機会を設けています。
穂坂様:また、スマイルクラブでは、利用促進のための声掛けも行なっています。チームメンバーがそれぞれが所属する部門の従業員たちに働きかけることで、RECOGの利用を促し、定着させることができました。
小岩様:それから、スマイルクラブが企画した取り組みのひとつに、「自己紹介リレー」というものがあります。
穂坂様:自己紹介リレーとは、週に1人ずつ、RECOGの投稿機能を使って自分の趣味や特技などを発表していくという活動です。これにより、普段まったく交流のない人でも、その人のプロフィールや人となりを把握できるようになりました。
小岩様:自己紹介リレーは、コミュニケーションのきっかけにもなっています。実際に、自己紹介の内容から従業員が興味のあることを知り、そこから会話が生まれることも少なくありません。
穂坂様:投稿機能はもともと限られた従業員しか使用していなかったのですが、自己紹介リレーをはじめてからは、自分の趣味の内容や休日に行なったことなどを投稿する従業員も増えてきました。
小岩様:ほかにも、ツールの使い方の解説動画を投稿し、投稿機能を積極的に活用している従業員は多いですね。さらに、投稿内容に対してレターで感想を贈る従業員もおり、RECOGをきっかけとしたコミュニケーションがどんどん生まれています。
穂坂様:加えて、月に1度「褒めパトロール」という活動も行なっています。これは、各設備の主任が設備内を巡回しながら従業員の褒める部分を見つけて、RECOGでレターを贈るというものです。
導入後1年間はなるべくレターの数を増やそうということで、こうした利用促進施策にとくに力を入れていました。その甲斐あって、今ではみんな自主的にレターを贈ってくれています。
社内コミュニケーションが促進され、ストレスチェックの結果にも変化が表れる
ー導入後、どのような効果を感じますか。
穂坂様:社内の雰囲気や、風通しは間違いなく以前より良くなったと感じています。それに、「上司から褒められて嬉しい」という声もよく耳にするようになりました。やはり、感謝の気持ちを面と向かって伝えることが苦手な方は一定数いるものです。そういう方も気軽に「ありがとう」を伝えられるようになって欲しいという気持ちがあったので、導入してよかったと思います。
私自身も、各工場の改善活動を報告する全社大会で、工場代表として発表した際に、直属の上司や工場長がRECOGで褒めてくれたときは嬉しかったですね。なにかを頑張ったときにRECOGを通じて上司が褒めてくれて、それを社内全体にも知ってもらえることは、大きなモチベーションアップにつながっています。
佐藤様:ストレスチェックの結果にも、定量的な変化が表れています。RECOGを導入したことでコミュニケーションが活性化されたことが、従業員のストレス低減につながっているのではないでしょうか。
また、RECOGはレターや投稿内容から得られる情報も多いと感じています。「この人はこういうことを頑張っているんだ」「この人とこの人は親交があるんだ」ということが可視化されますし、自己紹介リレーによって一人ひとりの趣味趣向も把握できるようになりました。普段はなかなか現場まで足を運ぶことがないので、現場の人たちの活躍や頑張りを手軽に把握できることは、管理部門としてとても助かっています。
小岩様:私はRECOGの導入後しばらくしてから広野工場にきたのですが、RECOGを見れば新しく部下になる方たちがどんな頑張りをしていて、どのような趣味趣向を持っているのかおおよそ把握することができました。それ自体がコミュニケーションツールであると同時に、上司と部下の相互理解を育むきっかけとして役立っていると感じています。
従業員のつながりを強化し、お互いを思いやれる組織に
ー今後、目指したい組織の姿を教えてください。
小岩様:これからも従業員同士のつながりを大切にして、誰もがより一層前向きに、そして自主的に働ける職場環境を整えていきたいと考えています。RECOGをはじめとしたさまざまな施策を通じて、つながりをさらに深めていきたいですね。
穂坂様:工場ではさまざまな機械が稼働していますが、やはり働く人がいてはじめて成り立つものです。一人ひとりが不満を抱えていると、全体の生産性も下がってしまいます。
RECOGを通じて従業員同士のコミュニケーションを活性化したり、互いに称賛し合う文化を醸成することで、働くモチベーションをさらに高められたら嬉しいですね。
佐藤様:現代は「個の時代」と言われていますが、一緒に働く仲間同士、上司や部下、同僚と仲良く助け合いながら働ける関係性を築いていってほしいと思います。
周りにいる人たちを互いに思いやれるような、そんな組織にしていきたいですね。