医療機器関連事業を展開し、全世界の消化器内視鏡分野で約70%のシェアを占めるグローバルメドテックカンパニーであるオリンパスグループ。その国内市場を担当する販売商社であるオリンパスマーケティング株式会社は、2021年にグループ内の企業統合により誕生しました。
同社では新しい文化の形成の1つとして2022年8月から社員約1,500名を対象にRECOGを導入しました。RECOG導入背景と導入効果、そして一斉導入を成功させた運営のポイントを経営戦略本部の宇野様、大久保様にお伺いしました。
オンライン時代の組織文化「ありがとう」の価値
ー導入背景を教えてください。
宇野様:新型コロナウイルスの影響で、私たちの働き方の常識が変わりました。リモートワークによる効率性は大きかったと思うのですが、同時に、自分たちが大切にしてきた会社の文化が失われつつあるように感じました。オフィスでの偶発的なコミュニケーションがなくなり、視野が狭まったような印象を受けたのです。
それでも、お客様向けのオンラインセミナーは好評で、オンラインでも十分な”人との繋がり”を感じられるという新たな発見もありました。
当社の魅力は、社会貢献性が高く、やりがいがあること、そして社員同士が互いに助け合い、情報を共有し合う温かい社風だと思っています。けれど、組織拡大や合併等により、組織のサイロ化も進んでいます。
例えば、自分がとある営業所で働いていたとき、他の営業所の様子が全くわからず、異動して初めて部署ごとに文化が異なると気づきました。
会社の文化の寸断とオンラインの可能性を感じながら、働くモチベーションが何かを考えたときに「ありがとう」という言葉の重要性を思い出しました。営業時代に私が発信した情報に対して、他拠点の営業の先輩から「こういう情報は助かるよ。ありがとう」とメールが届いたとき、とてもうれしかったことを覚えています。当時は仕事で躓いていることも多かったのですが、このメールで、誰かが自分のことを見てくれていると自信を持てました。自分の仕事が一緒に働く仲間のためになっているとわかれば、モチベーションは大いに高まります。
ただ、その感謝の言葉は1対1のやり取りだから、他の社員には伝わらない。それがもったいないと感じて、「ありがとうの見える化」ができないかと考えました。
人材像と表彰制度の再定義としてRECOGの活用
「ありがとうの見える化」を検討し始めたとき、ツール単独で進めるのではなく、表彰制度と掛け合わせるというアイデアが出てきました。
当社の表彰制度は、部署を超えた活躍が見えず、誰が受賞したのか、そしてその背景が一部の人にしか知られていていないことが課題だったと思います。一部門の成功が他部門にも広がるような仕組みが十分ではないと当時は感じていました。
そして当社は「大きなミッションを達成できる人」と「数字とは関係なく、日常の仕事に対してパーパスや仲間を大事に思ってサポートできる人」、どちらの人材も重要です。既存の表彰制度では前者にスポットライトが当たるようになっていましたが、RECOGならば後者の活躍も見える化できます。RECOGを活用することは、会社として「どちらの人材も大事にする」というメッセージにもなるので、会社全体で導入しました。RECOGが新しい文化を創るためのきっかけになればと思います。
また当時、複数のツールを比較検討しましたが、UI/UXが最も使いやすく、自社に合った使い方ができると感じたこともRECOGを選んだ1つの理由です。当社の課題解決に寄り添ってくれた営業の方の姿勢や、カスタマーサクセスの方の伴走体制も信頼できるものでした。
部門間の連携や人間関係の強化
ーどのようにツールを運用されていますか。
宇野様:このようなツールの活用は、強制するものではありませんよね。そもそも、この取り組みを良いものだと思ってくれる人がいなければ組織も変わらないと思っていたので、RECOGの導入当初は、利用を強制するような雰囲気を作らないことを心がけました。
大久保様:RECOGの使い方についてルールを決めてはいないものの、さまざまな部署が自分たちのやり方でRECOGを活用してくれています。マーケティングの部署では、他の部署との連携が頻繁にあるため、プロジェクトのキックオフの段階からレターを贈ることで連携を強化しているようです。
また、今年の4月に組織が大きく変わり、新たにマネージャーになった人たちが部下との関係性を築くために積極的にレターを贈っています。マネージャーが贈るレターに部下の強みが書かれており、部下が自身の強みに気づくきっかけになっていると感じています。
宇野様:表彰制度にRECOGを導入する際には、レターの数で評価することにこだわりました。ポイント制にしてしまうと、個人の考え方によって評価が大きく変動する可能性があるからです。レターの数という基準を設けることで、普段の評価では見落とされる可能性のある個人の活躍や頑張りを公正に評価することができていると思います。
さらに、大久保さんが褒めることの意味や効果について理解できるようなコラムを毎月投稿フィードに投稿してくれているので、そのおかげで皆さんの書くレターの内容がより良く変わったと思います。こうした発信機能がRECOG内に用意されていることは、実際にとても役立っています。
円滑コミュニケーションの実現と業務・活躍の見える化が可能に
ー導入後、どのような効果を感じますか。
宇野様:RECOGを通じて自己紹介やレターを共有できるので、相手との業務上の役割だけでなく、パーソナルな部分も知ることができます。これにより、会話もより円滑に進めたり、アイスブレイクがしやすくなったり、部署間のコミュニケーションもスムーズになりました。また、異動した先の先輩にレターを贈るアクションが良好な関係を築くきっかけとなったり、相手の人となりを知ることで和やかな雰囲気の会話が生まれ、深い意見や考えを聞けるようになりました。
また、RECOGの導入によりこれまで関わりのなかった方の業務が可視化され、レターを通じて情報が共有されることで、業務のヒアリング先が明確になりました。現場の今の状況や考えを的確に把握できるので、情報収集の効率化を感じています。
さらに、一部ではマネジメント層が主体的に部内のルール作りに取り組む動きが出てきています。社員が自主的に褒め合いの文化を作り上げ、レターを通じて積極的に活躍を見える化し、多くの仲間にスポットライトを当ててくれていることにとても感謝しています。
加えて、RECOGのバッジを通じて日々自然にコアバリューに触れることで、組織全体でのバリューの浸透がしやすくなるとも感じています。日常の会話ではあまり使用されないバリューの言葉がレター内では使用され、社員がお互いに称賛し合っている様子も考え方の見える化がされていて興味深いです。「ありがとう」と言う機会があっても、「“何に”ありがとう」なのかは人ぞれぞれ違います。そのようなコミュニケーションの違いを認め合う大切さをRECOGを通して学んでいます。
持続的な企業の構築に向けた組織の統一
ー今後、どのような組織を作っていきたいですか。
大久保様:一緒に働いていた仲間が退職したことが何度かあり、振り返ってみるとお互いに仕事を認め合い称賛しあうことができていなかったのかもしれないと感じています。年齢や世代の違いによる理解の難しさもありますが、組織全体として、お互いの成長を支援し、年代や世代の壁を越えて組織の統一を図りたいと考えています。日常の会話の中でも、RECOGを通じて取り組みや活躍について話し合える環境を整えたいと思っています。
宇野様:当社は時代を超えてもお客様から必要とされる企業であり続けることを目指しています。そのためには、人と人とのつながりや、人が生み出す力を信じることが大切です。これからも職場の文化やワーキングスタイルなどのソフト面を重視し、さまざまな年代の多様な視点、個々の強みや弱みを認め合いながら、団結できる組織を築きたいと考えています。